童謡詩人、星助 金志(ほしすけ きんじ)による、季節ごとのコラムです。
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秋になりました。
春にやって来たツバメが南の国へ去りました。
雁たちは北の国から帰って来ました。
虫は穴に隠れました。秋の夜、耳を楽しませてくれた虫の唄とも、来年までしばしのお別れです。
我々の前に姿を見せていない間、虫たちはどこで何をしているのか少し調べてみました。
まず、バッタなど卵の状態で冬を超す虫がいます。成虫になるとワンシーズンで卵を産み死んでいく虫です。童話で有名なキリギリスもその一種です。元の話ではコオロギだったそうですが。
幼虫の姿で越冬する虫もいます。チョウチョやカブトムシなどです。こちらも成虫は冬を越せません。
成虫のまま冬を超す虫もいます。アリ、スズメバチ、オオクワガタなどです。
彼らは成虫のまま数年生きています。ですから、親子三代一緒に過ごすということもできる訳です。
人間の家族みたいでおもしろいと思いませんか?
虫の親子はどんな会話をするんでしょうね。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
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四季の移り変わりには「春が来た」「夏が来た」というように、季節を擬人化して、その季節が私たちの世界を訪れたような言い方をします。
日本語に限らず、英語でも「スプリング・ハズ・カム」などと言いますので、季節がやって来る、という感覚は世界共通のものかもしれませんね。
ところが、ようく思い出して欲しいのですが、我々は春夏秋冬の中で、秋だけ「秋が来た」とは言いません。「もう秋だね」とか「秋になった」とは言いますが、秋の場合だけ「春が来た」「夏が来た」とは、明らかにニュアンスが違います。そう。秋は来ないのです。
なぜなら、秋は夏の後ろにずっといたからです。
秋になるということは「夏が去り、その後ろに隠れていた秋が現れた」ということです。
夏の分厚い入道雲の後ろに隠れて、高い秋の空はずっと広がっていました。セミのけたたましい鳴き声にかき消されながら、秋の虫の声もずっと鳴っていた。
秋は来ません。夏という祭りが去ったのです。秋は世界が本来の姿を静かに我々に示す時です。田んぼや夕日、秋の月、虫の音。秋はみんな黄金色です。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
「セミ」
「暦の上では」とよく耳にします。「暦では秋だけど、実際は秋じゃない」というニュアンスが込められていると思います。多くの方がそんな理解をしているのではないでしょうか。
でもぼくの考え方は少し違います。
一日の中で最も太陽が高く昇るのは大体十二時頃です。しかし気温が最も高くなるのは、二時〜三時。夕方にさしかかった頃です。
これと同じで、お盆時期の暑さのピークは、すでに夏が終わっていることの現れだと思います。
明日の命も分からないセミが全身全霊をふるわせて歌っています。春、満開の花をつけた桜の木がすごい勢いで日光を奪い合って枝を広げています。
ご先祖様に感謝するお盆行事とあいまって、命のつながりの尊さ。ひとつの命のはかなさ。精一杯生きること。そんなことをつい、考えてしまいますね。
「考えるな。踊れ!」と、セミが怒っているようです。
夕立が来て去って行くと、ヒグラシが歌い始めます。
夏の日々を静かに眠らせるためです。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
和歌や短歌に使われる季語は、現代の暦に比べて約一か月遅れています。
ですから、
五月雨を 集めて速し 最上川
という有名な句にも使われている季語「五月雨(さみだれ)」は、現代で言うところの六月の雨。
つまり梅雨の季節の雨のことなのです。
さて、今回の歌がリリースされる六月十二日は、昔ながらの暦「七十二候(しちじゅうにこう)」でいうと、 「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」という時候になります。
一日中シトシト降り続く雨が、小川の草を、クタクタに「腐」らせてしまう。
そんな「腐った」草たちが、夕方、蛍(ホタル)となってたくさん飛び立つ。
たった四文字の言葉、しかも暦を表す言葉が、何とドラマチックに、命の再生をよろこんでいることでしょう。
梅雨(つゆ)の雨は人を憂うつにすることもありますが、次の季節を準備する大切な時期なのです。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
昔、田んぼはどこにでもありました。
稲が日々成長して行くさま。田んぼに生息する生きものたちの姿や鳴き声。そんな風景の片鱗から、人は意識しなくても、自然と季節の移ろいを肌で感じることができました。
とりたてて田んぼの風景のことをほめることもなく、いつも目にするあたりまえの風景。田んぼは日本の「原風景」だったのです。
しかし都市化した今の町には田んぼがありません。
そのことによって、わたしたちは、自分から求めて行かないと、季節の移りゆきすら感じることができなくなっています。
ただ現代の町でも注意して眺めれば、原風景の名残はいくらでも見つけることができます。おじぞうさまや季節ごとの草花、虫や鳥、におい、音。
今の子どもたちにそんな「あたりまえ」の風景の見つけ方を伝えてあげることは、田んぼのない町に住む大人の大切な仕事だと思います。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
暦の一種に「七十二候(しちじゅうにこう)」というものがあります。
一年を七十二の時節に分けて、その季節特有の風景を、短い言葉で表したものです。
去る三月二十八日、東京で桜の開花が発表されましたが、ちょうどこの時期(三月二十六日〜三十日)は七十二候で「桜始開(さくらはじめてひらく)」と呼ばれる時でした。
古くから伝わる暦は、長い時を経た今もいきいきと根付いているのです。
今回の童謡「はるがきたよ」には、ツバメが登場します。それは、この童謡が初めて人の目にふれる四月十日が、七十二候で「玄鳥至(つばめきたる)」という時にあたるからです。
買い物や通勤の途中、何気なく空を見上げた時に、南の国から飛んで来たツバメを見かけることがあるかもしれません。
その時は、本格的な春の訪れを共に喜びましょう。
星助 金志(ほしすけ きんじ)
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